言葉のない世界の広がり
2024年04月03日 UPDATE
Written by: 辻大介
日本語に関わらず、世界中の言葉の力が失われていて、伝えていく力がすごい勢いで失われているように感じています。
言葉を失っていった世界は、感動が無くなり、一見、悲しみも苦しみも消え去ったように見えますが、気づくと自分の大切に思っていた価値観みたいなものが、どんどん崩れていって、虚無の世界が広がります。
虚無の世界が広がると、あれほど気にしなかった言葉を急に意識するようになり、嘘でも何でも良いので、その日一日のあらゆる言葉を埋めようとします。
しかし、本当に意味のある言葉以外をどれだけ集めても、しばらくすると塵のように消えていって、本来の虚無の世界がまた深く暗く広がって行きます。
逆に言うと、一度虚無の世界が出来てしまうと、余程どこかに通じている言葉が入らない限り、なかなかそこに存在するものを留めることは出来ません。
虚無の世界を心に持つ人の言葉は、誰の心にも響かずに、誰の記憶にも残らずにただその閃光だけが残るに等しいような気がします。
意味のある人生とは、正義とか価値観とか、その辺りの巷の耳障りの良い言葉では、目を閉じた瞬間からそれが心の中では何の意味も無さないことに気付きますが、やがてそのことも鈍い記憶になって、その微かな衝撃にも慣れてしまいます。
自分の心の世界を作り出す、始まりの言葉を見つければ、また満たされる心が出来上がると思います。
そう言う意味では、いつも自分の心が何の言葉から始まっているかを、知っておくことが大切なことです。
その言葉は、単なる言葉ではないです。日によってわずかに響きが違い、意味が微妙に変化することがあります。
一度見つかっても、また同じように見つかるとは限らないです。
その言葉を見つけようとする気持ちや努力、その過程にこそ意味があるのではないでしょうか。
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